10年単位のAIDMA

先日から日経BPのサイトで連載の、CCC増田社長のインタビュー記事。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130830/252819/


とても面白く、良い気付きもあった。


— 引用 —

戦後はポイントになる大事な年が3つあるのよ。
1970年、1980年、1990年。まず、1970年は団塊の世代が大学を出て大企業に就職して、日本の高度成長のエンジンになったとき。
日本の最後の高度成長って団塊世代が作ったんだよ。
つまり、企業が団塊という大きなエンジンを手にしたのが1970年。
だけど、この時点での団塊世代はまだ給料が安いから、労働者ではあるけど生活者=市場にはならない。
若者文化は芽生えて、雑誌などの情報産業では団塊市場が育っていたけど、リアルな市場にはまだなっていなかった。
それが1980年になって団塊世代が「労働者」から「生活者」になった。団塊の世代が30代になり、給料も上がって、市場を作り始めた。
「若者文化」や「若者市場」というのは、この時代に一気に花開くんだよ。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130904/253005/
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団塊世代が情報収集だけの段階から消費の主役になるまでを10年のオーダーで捉えている。
言われて見れば当たり前なのだが、僕は10年の単位で顧客の醸成を考えたことがなかった。
いわゆるAIDMAとか、AISCEASのサイクルが長い。
僕の卑近な個別の企業・プロダクトのマーケティングのタームの例では、個別のECサイト、昨今のソーシャルゲームなどは、インフォームされてから購買まではほんの数秒~数分。
滞在時間の数分の間でどれだけインフォームして、購買に至ってもらうかという世界で、ほとんど脊髄反射のようだ。
知ってから購買までのサイクルはあっという間で、他の感情の入り込む余地が少ないほうが良く、時間的にとにかく短い。



もちろんECサイトを使う、ゲームをするという土壌が醸成されるのに時間はかかって居る。
Nintendo Kidsとかデジタルネイティブとか言われるように、みんなどんどんテクノロジーに慣れてきている。
止まらない大きな流れで今後も続くはずだ。
今のティーネイジャーや20代の置かれている状況が、10年後の消費市場を作るのも事実だと思う。


ところで、最近は、ほんの半年後の状況を予測して手を打っているつもりだけど、その半年先の想定でさえ理解されないことも多い。
例えばスマートフォン経由での購入はそんなに増えないとか、この商材はスマートフォンでの購入にそぐわないとか、そういった議論をしている。
ここでも、10年先を予測、あるいは10年前から逆算するとより自然な手が打てそうだ。