oDeskとElance との合併に思うこと

アメリカの大手クラウドソーシングサイトoDesk(オーデスク)とElance(イーランス)とが合併するとの発表がありました。
https://www.odesk.com/info/about/press/releases/odesk-and-elance-announce-merger/


どちらも既に超大手ですが、まだ市場も両企業も成長中だと思うので、動きが早いなという印象です。
日本で言うと、クラウドワークスとランサーズが合併する感じでしょうか。


旧来、エンタープライズ(大企業)が各社で社内に保持していた機能の多くが、最近は外部でアウトソーシング可能です。
私達の出身業界であるコンサルティング業界は、そもそも経営コンサルティングが経営戦略・経営企画のアウトソーシングといえますし、その派生として業務改革(BPR)、業務プロセスアウトソーシング(BPO)、情報システムサービス・インフラのアウトソーシング(ITO)など、非定型のサービスからバックエンドのインフラまでどんどん領域を広げています。
上記以外にも、カスタマーサポート、営業支援・販売代行、3PL、・・・といったようなビジネスサービスの外部化は既に大半の業務領域で実現しています。
特に特定業務を大量に行っている専門業者ではオペレーショナル・エクセレンスが磨かれるので、外部に依頼したほうが高品質・低コスト、餅は餅屋という傾向にあります。


もちろん、いわゆる「自前主義」の企業もあります。
しかし、多くの企業では「外部の専門業者のナレッジ・リソースをいかに有効活用できるか」が競争力の源泉のひとつになって来ています。
これは「では何を自前で用意するか」ということと同意で、多くの業務を自前で用意しなくなった反面、自前の部分で他社と差別化しなければいけません。




oDesk、Elance、あるいはクラウドワークス、ランサーズのようなクラウドソーシングのプラットフォームが商業化してきたことで、より小さな単位でプロの手を借りられるようになりました。
会計士・弁護士のようなプロフェッショナルサービスもかなり身近になりましたし、より専門性の低いちょっとした業務、本当に細かな作業も少ない手間で好きなときに外部に出せる様になりました。
既に大半の業務をアウトソーシングできていたエンタープライズ(大企業)だけでなく、中小企業や個人事業主にもこれらの選択肢ができてきました。


oDeskなどは、簡単なリサーチ・ライティング・ウェブデザイン・プログラミングなどはもちろんのこと、それらアウトソーシング先をチームとしてまとめて進捗管理するというところまでプラットフォーム上で可能です。
価格や煩雑さの問題もまだ残っていますが、おおかた「社員全員がそれぞれ秘書を抱えているような状態が格安で実現できる」といえます。


今後、大企業・中小企業の社内にはどんな機能が残るでしょうか。
経営上の意思決定、研究開発・新規事業開発、ブランディング。
企業としての方向性を示し、他社との差別化部分を明らかにするという機能だと思います。(もちろんそれを業務の塊にして外部のプロフェッショナルに的確に伝えるという機能も残ります。)
つまり、エンタープライズでは既に起こってきたことですが、中小企業がクラウドソーシングを使うことによって、社内の人のフォーカスするポイントが変わり、優先順位が変わり、業務プロセスが変わり、ひいては働き方も変わってくるでしょう。


クラウドワークスは「世界の働き方を変えよう」と言っていますが、働き方が変わるのは、外部から労働力を提供する人だけでなく、社内から仕事を提供する人にも言えるのだと思います。
外部と内部の境目が変わる、境目がなくなるといったほうが的確かもしれません。


我々は今後もコンサルティングやシステム開発を通じて、社内の機能強化・社外への効率的なアウトソーシングのお手伝いをしていく予定です。